ああそうなんだイタリア語 18 外国語の感覚(1)Eccolo

ああそうなんだイタリア語 18 外国語の感覚(1)Eccolo

外国語を勉強するときに、日本語しか知らない場合にはある種の感覚を身につける必要がある。その一つが、イタリア語の場合は性と数である。つまり、単語にはすべて性別があり、単数と複数では表現が異なるということだ。英語には複数にはSをつけるという決まりがあるが、単語に性別はない。日本語には勿論どちらもない。複数には「たち」「ども」「等」などをつけるが、これも人称代名詞「私たち」「あなたたち」「彼ら」「私ども」などは必須だが、ものやことには普通はつけない。本は本だし、本たちとは言わない。また人称代名詞の複数形は英語でもイタリア語でも単語自体が変わり、Sをつけたり語尾を変えたりするわけではないので、「人称代名詞以外の名詞は単数と複数を語尾を変化させて区別する」と言えるだろう。

イタリア語を勉強した方はご存じだろうが、名詞の性については結構厄介である。基本的に語尾がoで終われば男性名詞、語尾がaで終われば女性名詞であるが、eで終わる場合は男性名詞か女性名詞かを知っていなければならない。また男性名詞の複数はiで終り、女性名詞の複数はeで終わる。イタリア語は基本的に母音で終わるが、uで終わる単語は少ない。勿論例外も沢山ある。取り敢えず、単語の性別を覚えたとしても、文章にする場合に厄介な問題がある。形容詞をつける場合、形容詞の語尾が名詞の性と数に一致しなければならない。例えば、nuovo(新しい)という形容詞を使う場合、vestito nuovo(新しい服)、vestiti nuovi(新しい複数の服)、cravatta nuova(新しいネクタイ)、cravatte nuove(新しい複数のネクタイ)となる。イタリア語(ラテン系言語)は、形容詞は名詞の後について修飾するが、それは先に性数の主体となる名詞が出ないと、形容詞がつけられないからである。イタリア語やフランス語の形容詞が名詞の後に来るのを不思議がる人もいるかと思うが、これはこれでうまく出来ているのだ。

しかし、それでも厄介なことがある。指示代名詞のように、一番先に使うQuesto(これ)やQuello(あれ)の場合は、まず何を言おうとしているのか頭で考えて、名詞の前に名詞に合わせて変化させて使わねばならない。これが、女性名詞で複数形なら、Questeと先に言ってから、sono le mie scarpe. のように続けねばならない。意味は「これら(これ)は私の靴である。」尚、この例であげたように、所有形容詞(私の、あなたの、など)や指示形容詞(あの、この)などは形容詞であっても名詞の前に付けるし、形容詞の中でも習慣的に名詞の前に付けることが多いものもある(bello, buonoなど)ので、頭の中は性数でフル回転していなければならない。

イタリア語を学ぶ場合には、この感覚が必要であると思うのである。筆者自身についていえば、3年から5年くらいかかっただろうか。つまり、あらゆる名詞を性別で考えるようになるのに。多分複数の方は、英語で多少は慣れていたかも知れないが、、、。多分一番厄介なのは、代名詞である。lo la li le の直接目的語になる代名詞を使う場合は、基本的にそれが、男性か女性か、単数か複数か、頭の中で理解していないと使えない。大変面倒くさいと思うが、これもある程度は慣れる。ただ、日本語で話している頭を多分ちょっとだけイタリア語モードに変える必要はあるのではないかと思う。大分前にイタリアでイタリア在住20年くらいでイタリア人と結婚している人が、日本語で話しながらも何かの拍子で、”Eccolo!”と仰った。これですね。やはり、頭がイタリアモードでさっと出て来るっていうのは、と思いましたね。Eccolo, Eccola, Eccoli, Eccole.もちろん全てありますからね。Eccomi!もあります。

 

nakahara